ヒハツはコショウ科のツル性植物で、インドやインドネシアのジャワ島、マレー半島などに自生する東南アジア原産の常緑樹です。日本では沖縄本島や宮古八重島で古くから栽培され、民家の石垣などにも生息しています。長い果穂の中にコショウの実が入っているため、別名「ナガコショウ」とも呼ばれています。
コショウには黒コショウ、白コショウなどの種類がありますが、ナガコショウと呼ばれるヒハツは歴史が古く、コショウの起源であるとも言われています。コショウの英語名である「pepper(ペッパー)」は、ヒハツのサンスクリット語名である「pippali(ピッパリ)」に由来しています。中世ヨーロッパでは高価な香辛料として珍重され、持ち主にとって財産でもあり富の象徴でもありました。中国やインドでは古くから薬として用いられ、奈良の正倉院には唐時代の中国から貴重な薬物として送られたヒハツが今も現存しています。日本では体の冷えをやわらげると言われ、長く民間伝承薬として利用されてきました。
ヒハツは沖縄料理の味付けなどにも用いられ、独特の辛味と甘い香りに特徴があります。発汗作用があり新陳代謝を促す働きもあるため、暑い沖縄では夏バテ防止に適した香辛料として古くから用いられてきました。最近の研究で、ヒハツに含まれる辛味成分のピペリンには血管拡張作用のあることが解明され、冷えをやわらげる働きが科学的に立証されました。現在、ヒハツは体を温める食材として期待され、特に冷えに悩まされやすい女性の注目を集めています。