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連載コラム:ほっかいどう食の彩時記
ガラナにする?カツゲンにする?
道産子限定?湯上がりカツゲンしゅわっとガラナ

 東京に移り住んだ友人が札幌に帰省し、我が家に遊びに来たときのことです。「お茶がいい?コーヒーがいい?」と尋ねたついでに、半分ジョーク、半分本気で「それとも『カツゲン』にする?『ガラナ』にする?」と、付け加えてみました。その言葉に、彼女は大笑い。「カツゲン、あるの? 飲みた〜い!」と言うので、コップに注いで差し出すと、あっというまに飲みほして「懐かし〜い!」と大喜び。カツゲン(現在の正式な名前は『ソフトカツゲン』)は、北海道限定で販売されている乳酸菌飲料。1956年、北海道上陸が間近となったヤクルトに対抗する商品として開発、発売され、以来、道産子の支持を受け続けています。4年ほど前に製造・発売元が雪印乳業から別の会社に変わりましたが、人気は不動。1000ミリリットルの紙パック入りが全道で販売され、コンビニの定番品でもあります。乳酸菌飲料の中ではあまみもすっぱみも強い、道産子好みの濃厚な味が特徴。かつては道外進出が試みられたものの、振るわずに撤退した経緯もあり、そこには味の嗜好の違いがあるといわれます。ガラナは、アマゾン原産の樹木・ガラナの実のエキスを原料とする炭酸飲料で、やはり北海道限定販売品です。1958年、当時、サイダーを作っていた全国各地の飲料メーカーの組合が、日本上陸を間近に控えたコカコーラに対抗する商品として開発。組合に加盟する各地の中小メーカーが各自製造をして、統一ブランド名(『コアップガラナ』)で販売を開始しました。ところがコカコーラの猛攻に勝てず、次々と撤退。コーラの上陸が遅れた北海道にだけ根づいたのだといわれます。地域限定品は、その地に暮らす人が、その地にしかないものだということに気付いていない場合も多いのですが、全国各地に存在します。それは、その地で生まれ、大手との熾烈なシェア争いの中でも駆逐されることなく、がんばってきた商品であることが多いのです。世界市場を相手にする米国生まれのコカコーラや、日本初の乳酸菌飲料・ヤクルトの上陸にも負けず、北海道で生き抜いてきたのが、ガラナとカツゲン。そう思うと、愛おしくなってきちゃうワタシです。あなたの町の地域限定品には、どんなドラマがあるのでしょう。

●伊藤由起子
札幌市在住のフリーライター。北海道ならではの風習や食文化の背景を探ることをライフワークのひとつとして、執筆活動に取り組んでいる。